商社業界の現状と今後の将来性

インフラ産業を支える仕事への転職情報サイト~インフラジョブ~ » 専門商社とは » 商社業界の現状と今後の将来性
目次

近年、世界経済の変化やデジタル化の進展により、商社のビジネスモデルは大きな転換期を迎えています。特に総合商社では、これまで頼ってきた資源事業から、食品や小売、インフラなどの「非資源分野」に力を入れる動きが加速しています。

ここでは、商社業界の現状と、今後の将来性について紹介します。

商社業界の現状

総合商社の動向:資源依存からの脱却へ

総合商社は、鉄鉱石や原油などの資源取引を基盤としつつ、多角化戦略を進めています。2022年度には、資源価格の高騰を背景に各社が過去最高益を更新しました。

しかし、資源価格は世界情勢や需要によって激しく上下することが多く、過去には価格の急落で大手商社が赤字を計上したこともあります。こうした経験から、最近では食品、アパレル、流通、医療・ヘルスケアなど資源以外の領域を強化し、収益のバランスをとる動きが活発です。

実際に、伊藤忠商事や三菱商事といった大手商社でも、食品、ヘルスケア、小売、金融といった領域へ積極的に進出し、事業のポートフォリオを分散させる動きを強めています。

また、海外取引を行う総合商社にとっては、コロナ禍でオンラインによる買い付けや商談が増えたことも大きな転機となりました。現地に足を運ぶことが難しくなった分、取引や情報共有のデジタル化が一気に進み、ITを活用した効率化が急速に進んでいます。

専門商社の動向:新しい価値の提供へ

専門商社は、特定の業界や製品に特化したビジネスを展開しています。安定した取引関係を築いているため、総合商社に比べると市場の変動に対する耐性が強い傾向にあります。

しかし、ECプラットフォームの発展や、メーカーによる「商社外し」の動きが進む中で、従来の仲介ビジネスモデルに依存するだけでは将来的な成長が難しくなっています。そのため、専門商社も独自商品の開発や、物流の最適化、品質管理のサポートなど、新しい価値を提供する動きが広がっています。

これから商社業界はどうなる?

商社業界の未来を考えるうえで、大きなカギを握るのが「非資源ビジネスの拡大」「デジタル化(DX)の進」「海外市場への展開」の3つです。

非資源ビジネスの拡大

近年、商社各社は資源価格の変動リスクを軽減するために、非資源分野の強化を進めています。特に注目されているのは、食品・ヘルスケア・環境ビジネスの3分野です。

食品分野では、伊藤忠商事がファミリーマートを傘下に収めたように、流通・小売と一体化する動きが活発です。ヘルスケア分野では、三井物産や丸紅が医療機器や製薬事業への投資を拡大し、高齢化社会に対応したビジネス展開を進めています。環境ビジネスでは、脱炭素の流れを受け、三菱商事や住友商事が再生可能エネルギー分野への投資を増やしており、今後の主力事業となる可能性があります。

デジタル化(DX)の推進

これまでの商社の仕事は、情報を集め、売り手と買い手をつなぐ「仲介役」がメインでした。しかし、インターネットやAI技術の進化によって、それだけでは付加価値が出しにくくなっています。そこで、多くの商社がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進。データやAIを活用したビジネスモデルへの転換を図っています。

たとえば、伊藤忠商事はデジタルプラットフォームを活用して在庫管理や価格調整をリアルタイムで行う仕組みを導入。三井物産ではブロックチェーン技術を活用し、サプライチェーンの透明性を高める取り組みを進めています。

海外市場への展開

国内市場の成長が鈍化する中で、商社の成長戦略として重要なのがグローバル市場への進出です。特に、アジア・アフリカ地域の新興国市場では、インフラ整備やエネルギー事業の需要が高まっており、商社が積極的に投資を行っています。

三菱商事は、アフリカの電力事業に参画し、現地のインフラ開発を進めています。丸紅は台湾の太陽光発電事業を買収し、再生可能エネルギー分野の拡大を進めています。こうした海外M&Aを活用した事業展開は、今後の商社業界の成長を支える重要な戦略となるでしょう。

こうした海外展開を成功させるには、現地の言語や文化を理解しながら取引先との信頼関係を築くスキルが不可欠です。英語や中国語などの語学力はもちろん、国際ビジネスの感覚や異文化理解が求められており、そうしたグローバル人材をどう育てるかが今の商社業界における大きな課題になっています。

一部の商社では、若手社員に海外駐在の機会を与えたり、海外のビジネススクールに派遣したりする制度を整えています。

商社業界の現状と今後の将来性に関するまとめ

商社業界は、時代の変化に合わせて少しずつ姿を変えながら発展してきました。

資源ビジネスはこれからも一定の需要がありますが、資源価格の変動リスクは避けられません。総合商社では、非資源分野の強化を進める動きが活発化しています。専門商社でも、従来のビジネスモデルに加えて自社商品の開発に取り組んだり、ECサイトを活用して取引を拡張したりするなど、新しい挑戦が盛んになっています。国内だけでなく新興国をはじめとした海外市場では食料品やインフラを整備していくニーズが大きく、そこに商機を見出す商社も増えるはずです。

今や商社は、メーカーと小売業者の橋渡しをするだけではなく、業務効率化やDX、海外展開のサポートなど、多様な付加価値を提供することが重視されています。こうした中で、グローバル化とデジタル化が進む世界の流れにどう対応するかが、商社業界の将来を左右するカギになるでしょう。

未経験から専門商社営業を目指せる イシグロ株式会社

イシグロ株式会社は、建築物に欠かせない配管を中心に様々な商品を販売する専門商社。専門商社の営業と言うと、かなり知識が必要。未経験からでは無理。そう思うことはありませんか?

 

イシグロでは、教育制度を充実させ、未経験から入社し活躍する営業がたくさん在籍しています。イシグロの教育で未経験から専門商社営業にチャレンジしてみませんか?